この記事は、建設混合廃棄物を扱う中間処理業者の方に向けた、JWNET「再資源化等の情報パターン」の分け方の解説です。パターンの基本的な作り方は「再資源化等の情報パターン」の作り方、割合の基本は割合と基準重量の解説をご覧ください。
建設系の中間処理業者様から、次のような疑問をよくお聞きします(複数のご相談をもとに、一般的な形にまとめています)。
- 混合廃棄物は、受け入れのたびに中身の割合が変わる。
- 同じ割合のパターンを、すべての受け入れに使ってよいのか分からない。
- パターンを増やしすぎると、どれを選べばよいか迷いそう。
マニフェストごとに新しいパターンを作ることが、一律に必要なわけではありません。処理ルートと廃棄物の性状を整理し、過去の実績から決めた割合のパターンを使い分けるのが基本です。
- 処理ルートが違えば、別のパターンにします。
- ルートが同じなら、組成の傾向を見て「1つにまとめる」か「タイプ別に分ける」かを決めます。
- 割合は帳簿などの一定期間の実績から決め、根拠を残して見直します。
なお、2027年4月(施行)から追加される「再資源化等の情報」は、電子マニフェストで処分業者が報告する項目です。制度全体の流れは再資源化等の情報の完全ガイドで解説しています。
この記事の目次
300kgの混合廃棄物でも、中身はこんなに違う
同じ「建設混合廃棄物 300kg」でも、選別すると中身は毎回違います。2つのケースを並べてみます。
- 木くず120kg(40%)
- 石膏ボード90kg(30%)
- ガラス陶磁器くず90kg(30%)
- 木くず30kg(10%)
- 石膏ボード180kg(60%)
- ガラス陶磁器くず90kg(30%)
この図の前提:説明のために仮定した、自社で選別したあとの構成です。受け入れ時に見た目で推定した組成とは別のものとして考えてください。また、選別で重さが増減しないモデルにしており、実際の施設の歩留まりを示すものではありません。
2つのケースは、行き先(処理ルート)は同じでも、割合が大きく違います。「パターンを1つにするか、分けるか」という悩みは、ここから生まれます。
パターンは一つにまとめる?それとも分ける?
判断は、次の3つの質問の順に進めます。「何%違えば分ける」といった公的な数値基準は、公式資料では確認できません。
質問1 処理ルートが違えば、別のパターン
JWNETのパターン設定ガイドでは、パターンは処理フローが同じものに対して1つ作るとされています。たとえば、選別した石膏ボードの行き先が、マニフェストによってB社だったりD社だったりする場合は、ルートが違うため別のパターンにします。
出典:JWセンター「再資源化等の情報 パターン設定ガイド」Ver.1.0(2026年9月)P.18〜19
質問2 組成の違いは「グループで分けられるか」で考える
ルートが同じで割合だけが違う場合、考え方は次の2つです。
一定期間の実績から求めた割合で、パターンを1つ作ります。
- 向いている:組成のばらつきが、ある範囲に収まっている
- 注意点:1件ごとの実際の組成とは差が出るため、割合の根拠を残しておく
例:「新築系(石膏ボード・木くずが多い)」「解体系」「標準」など。
- 向いている:排出元や現場の種類で、傾向がはっきり分かれる
- 注意点:受け入れ時に「どのパターンを使うか」を決めるルールが必要
- JWNETの「説明会でよくあるご質問」では、再資源化等の情報が精緻になるよう、廃棄物の質や組成に応じてパターンを使い分ける運用を推奨しています(No.28)。
- 環境省の通知では、処分方法ごとの割合は、受け入れた産業廃棄物の組成・性状・等級等を考慮して求めることとされています。
JWセンターが2023年3月に環境省へ出した提案書では、建設混合廃棄物について、排出事業者や現場の種類(新築・解体・木造・鉄筋等)などで組成を類型化したパターンを設定することが想定されています(事項16)。正式な法令・通知ではなく、検討段階の提案です。
- パターンを分ける数は、受け入れ担当者が迷わず選べる数にとどめます。
- 「どのパターンを使うか」の基準(排出事業者、現場の種類、受け入れ時の区分など)を、社内で決めて書き残します。
- どのタイプにも当てはまらない例外的なマニフェストは、パターンを使わずに直接入力する方法もあります。なお、パターンを使わず個別に入力する場合でも、JWNETの基本設定は必要です(説明会でよくあるご質問 No.36)。
質問3 根拠データがなければ、まず整理から
割合の根拠になる実績がそろっていない段階では、パターンの数を決める前に、パターンを作る前に整理する5つのことから始めます。
割合はどう決める?300kgで計算してみよう
パターンの割合は、受け入れた重量(基準重量)に対して何%かで表します。ケースAで計算してみます。
割合の根拠は「1件」ではなく「一定期間の実績」
毎回の実測が難しい場合には、過去一定期間の処理実績などから合理的な割合を求め、パターンに設定する方法があります。次は、1年間の実績から求める例です(数字は説明用の仮定です)。
| 項目 | 実績の重量 | 計算 | 割合 |
|---|---|---|---|
| 混合廃棄物の受け入れ | 30,000kg | 基準とする重量 | 100% |
| 木くずチップの売却 | 7,500kg | 7,500 ÷ 30,000 | 25% |
| 石膏ボードの委託(B社) | 13,500kg | 13,500 ÷ 30,000 | 45% |
| ガラス陶磁器くずの委託(C社) | 9,000kg | 9,000 ÷ 30,000 | 30% |
※表は横にスクロールできます。
この例で共通のパターンを1つ作ると、割合は「木くず25%・石膏ボード45%・ガラス陶磁器くず30%」になります。ケースA(40%・30%・30%)のように、1件ごとの実際の組成とは差が出ることを前提にした考え方です。
この比率を使ってよい範囲:性状が似ていて、処理ルートも共通する混合廃棄物です。組成や処理ルートが大きく異なるものまで、同じ平均の割合で扱うわけではありません。また、実績を集計するときは、受入量・処理後物の量・売却量の対象期間をそろえ、在庫の増減にも注意します。
- 環境省の通知では、実測が望ましいとしたうえで、実測が困難な場合は、過去一定期間の帳簿・売上記録等で把握した受入量や売却量から比率をあらかじめ求め、基準重量に掛けて数量を出す方法が示されています。
- JWNETの「説明会でよくあるご質問」では、パターンの割合は、排出事業者や自治体に根拠を求められた際に説明できる割合を設定するよう案内されています(No.38)。
- 計算に使った期間・資料名・計算表を、パターンごとに保存します。
- 委託先や主な取引先が変わったとき、季節で組成が変わるときは、割合を見直します。JWNETの「説明会でよくあるご質問」でも、定期的な見直しが推奨されています(No.33)。見直しの頻度は公式には定められていないため、社内でタイミングを決めておきます。
「処分方法ごとの割合」と「処理後物の割合」は別のもの
パターンには、2種類の割合を入力します。ケースAのように、選別だけで重さが変わらない場合は同じ数字になるため、混同しやすい部分です。
どの処分方法で、何%を処理したか
- 破砕20%
- 破砕・発酵80%
- 合計100%
処理した結果、何が何%できたか
- 木くずチップ20%
- 堆肥(発酵で減量)48%
- 合計68%
発酵や焼却のように重さが減る処理があると、処理後物の割合の合計は100%になりません。この例では、100%との差の32%が減量した分です。詳しくは割合と基準重量の解説をご覧ください。
二次処理先が複数あるときはどうする?
混合廃棄物は、選別した品目ごとに委託先が分かれることがよくあります。委託先が複数あるときは、JWNETのパターン設定ガイドの2つの考え方で判断します。
選別した石膏ボードを、いつも一定の比率でB社とD社に分けて出しているなら、1つのパターンの中で行を分けます。JWNETの「入力の手引き」にも、委託先3社へ50%・30%・20%の割合で出す流れを1つのパターンに入れる例があります。反対に、「この現場の分はB社、あの現場の分はD社」とマニフェストによって行き先が決まっているなら、パターンを分けます。
二次の割合は「最初に受け入れた重量」が基準
委託先の割合は、自社が最初に受け入れた重量(1次の基準重量)に対する割合に直して入力します。委託先から聞いた数字をそのまま入れると、割合が大きくずれます。
出典:JWセンター「再資源化等の情報 パターン設定ガイド」Ver.1.0 P.36・P.39
ケースA(300kg)をパターンにすると、次のようになります。2次の行も、すべて300kgに対する割合です。
この表の前提(説明用の仮定):木くずのチップ化と石膏ボードの再生で、減量や異物の除去がなく、記載した再生がすべて完了すると仮定しています。実際の施設では選別残さや減量が出ることがあるため、この割合をそのまま登録するものではありません。
| 区分 | 処分する会社 | 処分方法 | 処分方法ごとの割合 | 処理後物 | 処理後物の割合 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1次 | 自社 | 選別・破砕 | 40% | 木くずチップ(再資源化物) | 40% |
| 1次 | 自社 | 選別 | 30% | 石膏ボード(廃棄物) | 30% |
| 1次 | 自社 | 選別 | 30% | ガラス陶磁器くず(廃棄物) | 30% |
| 2次 | B社 | 破砕 | 30% | 石膏の再生原料(再資源化物) | 30% |
| 2次 | C社 | 安定型埋立 | 30% | ガラス陶磁器くず(廃棄物) | 30% |
※表は横にスクロールできます。
1次の「処分方法ごとの割合」の合計は100%です。2次の「処分方法ごとの割合」は、1次で委託に回した処理後物の割合と同じになります(石膏ボード30%、ガラス陶磁器くず30%)。石膏ボードをB社6割・D社4割に分けて出す場合は、2次の行を18%(30%×0.6)と12%(30%×0.4)に分けます。処分方法・処理後物の名前は説明用の呼び方です。実際は、JWNETの基本設定で登録する処分方法・処理後物の種類(分類)から、自社の処理の実態に合わせて選びます。なお、石膏ボードとガラス陶磁器くずは、廃棄物の種類としてはどちらも「ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず」に区分されます。
2次以降の入力操作は、「最終処分終了報告」用パターンの設定手順で解説しています。
パターンを作る前に整理する5つのこと
混合廃棄物のパターンは、JWNETを開く前の情報整理で決まります。次の5つを、手元の資料で確認してください。
- どんな廃棄物を受け入れているか確認する資料:マニフェスト、受け入れの記録(排出元・現場の種類も)
- 自社でどんな処理をしているか確認する資料:許可証、施設の設計値
- 処理後に何が、どれくらい発生するか確認する資料:帳簿、計量記録、販売台帳・有価物台帳
- どこへ二次処理を委託しているか確認する資料:二次マニフェスト、委託契約書
- 最終処分・再生までの流れはどうなっているか確認する資料:委託先から受け取る整理表(3次以降も含む)
これらは、JWセンターが公開している整理表作成ガイドまたは整理表ひな形(Excel)にまとめられます。どちらも、JWNET「再資源化等の情報パターン」の作成ページから入手できます。JWNETでの基本設定と登録の操作は、同じページの「パターン設定ガイド」をご確認ください。
先行する中間処理業者は何パターン作っている?
当社が準備に関わっている事業者の状況です(2026年10月時点。事業者名は非公開)。
30パターンでも200パターンでも、数そのものが正解というわけではありません。パターンの数は、受け入れる廃棄物の種類、委託先の数と組み合わせ、組成の違いをどこまで分けるかで変わります。大切なのは、実際の処理ルートと実績に合っていること、そして受け入れ時に迷わず選べることです。
※上記は特定の事業者の例で、業界の平均や目安ではありません。397件の実績データから25パターンを整理した例は、当社の特別レポートで紹介しています。
よくある質問
マニフェストごとにパターンを作らないといけませんか?
一律に必要なわけではありません。パターンは処理フローが同じものに対して1つ作るのが基本です(パターン設定ガイドP.18)。行き先がマニフェストごとに違う場合や、組成の傾向がはっきり違うグループがある場合に分けます。
その日の組成が、いつもと大きく違うときは?
組成のタイプ別にパターンを作っていれば、当てはまるパターンを選びます。どれにも当てはまらない例外的なマニフェストは、パターンを使わずに直接入力する方法もあります。この場合も、JWNETの基本設定は必要です(説明会でよくあるご質問 No.36)。
パターンの数字と実測値が合わないと、問題になりますか?
環境省の通知では、実測が困難な場合に、過去の実績から求めた比率で数量を出す方法が示されています。ただし、比率は組成・性状などを考慮して決め、根拠を説明できるようにしておく必要があります。指導の扱いを個別に確認したい場合は、所管の自治体へお問い合わせください。
割合は、どのくらいの頻度で見直せばよいですか?
見直しの頻度は公式資料では定められていません。定期的な見直しが推奨されているため(説明会でよくあるご質問 No.33)、「委託先や主な取引先が変わったとき」「年に1回」など、社内でタイミングを決めておくことをおすすめします。
委託先から聞いた割合を、そのまま入力してよいですか?
そのままではなく、自社が最初に受け入れた重量(1次の基準重量)に対する割合に直して入力します(パターン設定ガイドP.39)。たとえば、自社の処理後物の20%を委託し、委託先がその全量を処理する場合、委託先の行は100%ではなく20%です。
まとめ:パターン設計はここから始める
- 処理ルートを確認する自社の処理から、委託先、最終処分・再生まで。ルートが違えば別のパターンです。
- 組成・性状に合った割合を決める一定期間の実績から計算し、根拠の資料を残します。
- まとめるものと分けるものを整理する受け入れ時に迷わず選べる数と基準にします。
まずは、整理表に自社の処理ルートを1本書き出すところから始めてみてください。
- JWNET「再資源化等の情報パターン」の作成(整理表・パターン設定ガイド)公式の整理表とガイドを入手できます
- JWNET「再資源化等の情報パターン」の作り方|処分方法・処理後物・割合を整理パターン作りの全体像
- JWNET再資源化パターンは2種類|処分終了報告用と最終処分終了報告用の違いパターン種別の選び方
- 2027年4月 電子マニフェスト義務化|立場別の準備チェックリスト処分業者・排出事業者それぞれの準備
- JWNET再資源化等の情報 操作解説まとめ操作マニュアル第1〜9章の記事一覧
株式会社ケイ・システムでは、建設系・混合廃棄物の中間処理業者様に向けて、再資源化等の情報の準備を支援しています。
処理ルートの整理、割合の算定に必要な資料の整理、パターンの設計・登録など、現在の運用状況に合わせてお手伝いします。「何から整理すればよいか分からない」という段階からご相談いただけます。
電話:046-259-6112/メール:info@
サービスの詳細:電子マニフェスト代行
監修・執筆小島 啓義(こじま ひろよし)株式会社ケイ・システム 代表取締役廃棄物業界での約10年間の経験を経て、産業廃棄物・解体業界のバックオフィス支援に従事。これまで17万5千枚を超える紙マニフェストに向き合ってきた経験を生かし、電子マニフェスト(JWNET)の導入・運用支援、紙マニフェスト管理、再資源化等の情報の整理、台帳・帳簿作成など、産廃・解体業界の事務業務を幅広く支援している。
単なる入力代行にとどまらず、収集運搬業者・処分業者・下請け業者との連絡、確認、とりまとめまで対応。「入力できる状態をつくる」「現場を変えないDX」を大切にし、担当者が替わっても業務が円滑に回るバックオフィス体制づくりに取り組んでいる。
神奈川県大和市/大和商工会議所 常議員・環境委員会 副委員長
- 本記事は、2026年11月時点のJWNET公式資料、環境省の通知、および株式会社ケイ・システムの実務経験をもとに作成しています。
- 記事中の重量・割合・会社名(A社〜D社)は、説明のための仮の例です。実際の処理施設の歩留まりや再資源化率を示すものではありません。
- パターンの分け方や見直しの方法は、株式会社ケイ・システムが推奨する実務上の運用例を含みます。すべてが法令上またはJWNET上の必須要件というわけではありません。
- JWNETの仕様や公式資料は変更される可能性があります。実際の設定・報告の際は、最新の公式資料をご確認ください。制度の解釈や指導の扱いは、所管の自治体へご確認ください。
- 株式会社ケイ・システムは、JWNETの運営主体ではありません。
参考資料
- JWセンター「再資源化等の情報 パターン設定ガイド」Ver.1.0(2026年9月)P.18〜20、P.36〜39
- JWセンター「ゼロからはじめる!再資源化等の情報パターン作成準備」(2026年9月)P.2〜4
- JWセンター「再資源化等の情報」入力の手引き Ver.1.1(2026年4月)P.24、P.30、P.42
- JWNET「説明会でよくあるご質問」(2025年12月)No.28、No.33、No.36、No.38
- 環境省「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の一部を改正する省令の施行について(通知)」(2025年12月22日)第一 2(1)ウ・オ
- JWセンター「資源循環の把握に向けた電子マニフェスト項目の補充に係る提案」(2023年3月・環境省向け提案書)事項16(検討段階の資料)
- JWNET「電子マニフェストの項目追加」
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