コラム

到着時有価物の正しい理解とマニフェスト作成|紙・電子別の実務ポイント

公開日:2025年4月2日 最終更新日:2025年9月13日

産業廃棄物処理において「到着時有価物(逆有償取引)」という取引形態があります。この場合でも、廃棄物処理法に基づきマニフェスト(産業廃棄物管理票)の交付が必要になることをご存知でしょうか?

正しく理解していないと「これは有価物だから不要だろう」と誤解し、結果として廃棄物処理法違反・罰則につながるリスクがあります。本記事では、到着時有価物の基本概念から、マニフェスト交付の必要性、注意点、そして紙・電子それぞれの作成方法まで、わかりやすく解説します。


1. 到着時有価物とは?

「到着時有価物」とは、排出事業者が廃棄物を処分先へ輸送する際、輸送費用が売却代金を上回るケースを指します。輸送中は産業廃棄物として扱われ、処分先に到着した時点で初めて「有価物」となるのが特徴です。

例)売却代金 1万円 < 輸送コスト 1万5千円 → 逆有償取引(到着時有価物)

なお、有価物と産業廃棄物の違いを正しく理解することが重要です。

  • 有価物:市場価値があり、売買や再利用が可能なもの
  • 産業廃棄物:事業活動で排出され、廃掃法で定められた20種類の廃棄物

2. 到着時有価物にマニフェストの交付は必要か?

結論として、交付は必須です。理由は、処分先に届くまでは「産業廃棄物」として扱われるからです。

「最終的に有価物になるから不要」という判断は誤りであり、行政から不適切処理とみなされる恐れがあります。紙・電子マニフェストのいずれでも交付可能ですが、交付内容や方法に違いがあります(後述)。


3. 到着時有価物に潜むリスクと問題点

到着時有価物の大きな課題は、排出事業者が廃棄物を有価物と誤認し、マニフェストを交付しないケースです。これにより、不法投棄や処理不備といったトラブルにつながる可能性があります。

また、以下の点も注意が必要です。

  • 市況の変動により「輸送費>売却金額」となることがある
  • 運搬契約やマニフェストを怠ると排出事業者自身が行政処分や刑事罰の対象になる
  • 信頼できる運搬・処分業者との契約が不可欠

4. マニフェストの交付方法

4.1 紙マニフェストの場合

紙マニフェストにおける伝票の流れは下記の通りです。

マニフェスト伝票流れ
A票交付後、排出事業者控え
B1票運搬完了後、収集運搬業者控え
B2票運搬完了後、収集運搬業者から排出事業者へ返送
C1票処分完了後、処分業者控え
C2票処分完了後、処分業者から収集運搬業者へ返送
D票処分完了後、処分業者から排出事業者へ返送
E票最終処分完了後、処分業者から排出事業者へ返送

👉 到着時有価物の場合、交付が必要なのは A票・B1票・B2票のみ です。処分先で有価物として扱われるため、C票以降は不要となります。

4.2 電子マニフェストの場合

電子マニフェスト(JWNET)を利用する場合も、基本的に必要なのは A票・B1票・B2票 です。

  • 「報告不要業者設定」を行うことで処分・最終処分の報告が不要になる
  • 収集運搬終了報告が行われた時点で、自動的に処分完了とみなされる
  • ただし、自社運搬の場合はマニフェスト発行自体が不要

5. ケイ・システムによる実務サポート

到着時有価物を含むマニフェスト管理は、判断を誤ると法令違反につながる領域です。

ケイ・システムでは、

  • 紙・電子マニフェストの入力代行
  • 契約書・許可証のチェック
  • JWNET導入サポート
  • 現場ごとの最適な運用設計

まで一括で支援しています。

「到着時有価物の扱いが不安…」
「紙と電子のどちらを選べばいいかわからない…」

そんなお悩みをお持ちの事業者様は、ぜひご相談ください。


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